ラルフ・ヒュッター、「Kraftwerk」を語る (クラフトワークのアルバムを語る (1/10))
時たま思い出したように取り上げてるクラフトワークだけど、これはアルバムごとにラルフ・ヒュッターが解説を加えている記事。「Uncut」誌の2009年10月の記事が去年の「Retrospective」ツアーに向けてウェブにアップロードされたものなので、その時に紹介すればよかったかも。全8枚で、初回は最初のアルバム。
→ Uncut | Kraftwerk - Album by Album
「Kraftwerk」(1970)
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我々はクラフトワークを作り、クリング・クラング・スタジオを立ち上げ、一緒にやるミュージシャンを探し、曲の作りかたを発見し、ドイツ語を発見し、人間の声、合成した声を発見した。フローリアンと私は、クリング・クラング・スタジオを1970年に作ったが、それ以前はフリーフォームなバンドをやっていて、大学やパーティや画廊で演奏していた。それが、ある日、こう話し合ったんだ。自分たちで制作に使えるような母艦、研究所、本拠地が要るな、って。
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自分たちはアートシーンのバンドとして、カンと同じような立ち位置にいた。ドラマーは決まってなくて、クラウス・ディンガーだった時もあるし、ジャズ・ドラマー、ロック・ドラマー、ドラム・マシーン、色々だった。
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「クラウトロック」って言葉は、どこのバカが言い出したのか知らないが、当時は全く使われてなかった。ドイツ・ロックとか、エレクトロ・ロックとか、アンダーグラウンド・ミュージックとか、フリー・ロックとか呼ばれてたんだ。つまり、名前なんかなくて、しかも、場所ごとに違う色合いを持っていた。ベルリンは、クラスターとかタンジェリン・ドリームとか、宇宙的だったし、我々はデュッセルドルフ出身でインダストリアル、ケルンのカンはもっとロック的だった。
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この言葉は、そういう音楽が好きな人が言い出したんだろうけれども、侮辱以外の何ものでもない。それに、意味をなさない。我々はザワークラウト (キャベツの酢漬け) なんか食べてないからね。野菜で出来た音楽ってわけでもないし。「フィッシュ・アンド・チップス・ミュージック」とか「スパゲッティ・ミュージック」とか言うのと同じだろう (「fish and chips」はイギリス人がよく食べる料理)。創造性を認めてくれるのはいいが、もう少し頭を使ったネーミングをして欲しいものだ。
またムカついてるようだね。下記参照。「幻のアルバム」その1自体の話はあんまりなくて、ちょっと残念。次回は幻のアルバムその3の話。
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