デイヴィッド・ボウイ、ベルリン三部作を語る (5/8)
2013/3/30 から 2013/4/6 まで紹介したプロデューサー、トニー・ヴィスコンティの記事と対になってるインタビュー。ボウイ自身が、ベルリン時代の三部作「Low」、「"Heroes"」、「Lodger」について語っている。イギリス「Uncut」誌の2001年3月の記事より前半部分。
→ Uncut Interviews David Bowie and Tony Visconti on Berlin
「Low」について
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当時は最悪だった。身体も精神も限界だった。自分が正気かどうか、本気で疑ってた。だが、「Low」の絶望のベール越しに、楽観につながる感触がつかめたんだ。快方に向けてもがく自分の声が聞こえたんだ。
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ベルリンでは何年かぶりに、生きる喜び、解放感、癒しを実感できた。パリより8倍も大きな都市で、簡単に「迷子」になって、自分自身を「発見」できる街なんだ。
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映画「The Man Who Fell to Earth」のサウンドトラックになるはずだったのを持ち越したのは、それを逆転させて使った「Subterraneans」のベースパートだけだ。それ以外は全て新しく書き起こした。
「"Heroes"」について
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「Low」よりラウドでハードな出来だ。エネルギーももっと注ぎ込んだ。だが、歌詞ははるかに精神病的だ。その頃はベルリンに住み着いていて、気分は上々だった。高揚してたって言ってもいい。だが、あの歌詞はどこか無意識の片隅から出てきたんだ。まだ心の大掃除が済んでなかったんだろうね。
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何曲かは1テイクで作れた。残りは2テイクか、もうちょっとかかったと思う。素晴らしいミュージシャンばかりで、演奏には間違いがないんで、ノリを重視したんだ。
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自分のヴォーカルはほとんど1テイクだった。何曲かは歌いながら作っていった。「Joe the Lion」の場合、ヘッドフォンをつけてマイクの前に立ち、節を聞いて、思いついたキーワードを幾つか書き留め、それで録音した。次のセクションでも、同じことを繰り返した。イギー・ポップと仕事する内に身につけたやりかただ。マンネリな歌詞を打ち破るには実に効果的なやりかただよ。
ボウイのヴォーカルがほとんど1テイクだってのは、2012/10/25 に紹介した記事で、プロデューサーのケン・スコットも言ってる。
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