ロバート・モーグ、シンセサイザーを語る (6/10)
シンセサイザーの父、ロバート (ボブ)・モーグが、自らの半生などを語っている。Red Bull Music Academyの2003年の公開インタビューより。なお、本人は2005年に亡くなった。
→ Red Bull Music Academy | Bob Moog
「波形」って何ですか。
- オシロスコープをつなぐと、振動の形が見える。それが波形だ。
ずいぶん短い説明ですね。
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それ以外のことは、ミュージシャンには関係ないからだ。どんな回路かなんて気にしてもしょうがない。波形の名前の意味なんかも、どうでもいい。波形にはそれぞれ倍音の系列が対応してる。それが耳に聞こえるわけで、波形の特性だ。波形を変えると特性が変わる。
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波形として「三角波」、「のこぎり波」、「矩形波」なんかが取り揃えてあって、連続的に切り替えることができる。元のMinimoogでは、できなかったことだけど。(やってみせる) これがオシレーター1つ。これが2つ。2つの間の音程も設定できる。音程って、音楽をやってるなら誰でも知ってるよね。これがオシレーター3つ。どんな三和音にも出来る。こんなふうにユニゾンでもいい。オシロスコープで見ると、波形が少しずつゆっくり変化してるのが判るだろう。技術的に言えば、うなりのせいだ。音楽的に言えば、これが「太い」音なんだ。こうすると「薄い」音になる (拍手)。
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これでこの8つのノブを説明したことになる。3つの波形、3つのオクターブ、2つのピッチだ。これが基本のオシレーターで、色々なつなぎ方ができる。やってみせる時間があるかな。先に進もうか。これはミキサーのセクションだ。3つのオシレーターの音をミックスできる。ある音だけ他より強くすることも、どれも同じにすることもできるし、演奏中に変えられる。さらに他の音源もある。一つはノイズだ。フィルターと組み合わせると、オシレーターなしでは作れないエフェクトも作り出せる (意味がちょっと変)。もう一つは外部音源だ。背面のジャックに、ギターでもレコードプレーヤーでも別のミキサーでもテルミンでも、何でもつなぐことができる。
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こっちのセクションはフィルターだ。アナログ・シンセサイザー、特にMoogシンセサイザーを特徴づけてるのがフィルターなんだ。ノブを回すと、高い倍音からどんどん消していって、最後は基音だけになる。これも電圧で制御してる (VCFのこと)。今は、ゆっくりした周期でフィルターを開けたり閉めたりしてみせている。
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