イアン・アンダーソン、「Thick as a Brick 2」を語る (3/6)
ジェスロ・タルのリーダーで現在来日中のイアン・アンダーソンが、昨年リリースした「Thick as a Brick 2」について、なぜジェスロ・タル名義じゃないのかとか、色々と語っている。「Classic Rock Revisited」サイトの2012年3月頃の記事より。
→ Classic Rock Revisited - Thick as a Brick But Sly as a Fox: an Interview with Ian Anderson
あなたが何十周年を祝うような人だとは思っていませんでしたが。
- そうだな。レコード会社が出したがるんだよ。「Aqualung」だって、35周年と40周年の時に、リマスターとかが出ただろ。俺自身、正直なところ、ちょっと居心地がよくない。どうでもいいことだからな。けど、そういうのが好きな人たちがいるのも判る。だから、応じることにしたんだ。
それで「Thick as a Brick 2」ですか。
- 2年前だったら、「Thick as a Brick」の続編を作る話に丸め込まれるなんて、絶対にありえなかった。過去に戻るなんて、意味がない。だが、過去に戻ったりしなくていい、ジェラルド・ボストックの40年後の未来、つまり現在を考えればいいんだって思いついて、それで考えが変わった。「St. Cleve Chronicle」新聞は現在どうなってる?、とかね。登場人物をどう配置するか、現在の文化やテクノロジーをどう考えるか、とたんに面白くなったね。
架空の人物、そして40年後を考えるというのは面白かったですか。
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ありえないことを人に見せても、たいていの人は受け入れちまうんだ。そういうもんなんだよ。本当かどうかなんて疑いは脇に置いて、作り話に飛び込んじまう。そういうのが好きだからだ。そうじゃなきゃ、ピーター・パンとかファーザー・クリスマスとかロッキー・ホラー・ショーとか幽霊とか、成り立つはずがないだろ。退屈だったりストレスだったりする日常から逃れたいからなんじゃないかと思うが。
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元の「Thick as a Brick」の時に、パロディかどうかなんて誰も気にしなかったのも、そういうことだろうと思う。ジョークを判ってくれる人もいたし、そうじゃない人もいた。あの当時、最初の反応から、半々くらいだと思ってた。今でも判ってないって人は、もうすごく少ないけど、きっとアルバム・ジャケットや歌詞をちゃんと見てないんだよ。
知ってる人には今さら説明するまでもないだろうけど、ジェスロ・タルの代表作の一つって言われてる「Thick as a Brick」は、8歳の天才少年ジェラルド・ボストックの書いた詩に曲を付けたって触れ込みで、少年のコンテスト優勝を報じた新聞がジャケットって体裁だったんだけれども、実は全てアンダーソンのでっち上げって代物。前作「Aqualung」も評価が高いんだけど、本人たちはコンセプト・アルバムなんてつもりは全くなかったのが、評論家とか皆がコンセプト・アルバムとして賞賛したんで、だったら「コンセプト・アルバム」ってコンセプトを徹底的にからかってやれ、ってんで作ったのが、45分1曲ってアルバム「Thick as a Brick」。ったく、どんだけひねくれてんだか (ほめている (笑))。ちなみに、このタイトルは「どうしようもなく頭の固いアホ」って意味。
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