ディープ・パープルのメンバー、「Machine Head」を語る (代表作を語る (5/9))
これも「Uncut」誌。2013年6月の記事がウェブに2015年11月に掲載されたもの。イアン・ギラン、ロジャー・グローヴァー、イアン・ペイスの3人が、ディープ・パープルの代表的なアルバムについて語っている。
→ Uncut | Deep Purple: "We Were Dangerous, Unpredictable... It Wasn't Cabaret"
「Machine Head」(1972)
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ペイス:あれのレコーディングは、どたばた喜劇だったな。音響のいい場所があるなら、モントルーでもどこでもよかったんだが、知り合いのクロード・ノブスが、モントルーのカジノが閉鎖されるけど、どうだ?、って言ってきた。それで、その場所で俺たちみんなでザッパのライブを見てたら、燃えちまったわけだ。ザッパが観客に「うろたえるな!」って言ってたことしか憶えてない。ギターを放り投げて、逃げ出しながらな。
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グローヴァー:俺たちはザ・ローリング・ストーンズのモービル・ユニット (スタジオに改造されたトレーラー) をしばらく使わせてもらえるだけだった。火事になったんで、みんなでホテルに戻ってバーから眺めてたら、2時間くらいして、クロード・ノブスがひどくやつれた顔で現れた。俺たちが今後どうするか、それを気にしてくれてたんだ。
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ペイス:とにかく、やらなきゃいけなかったからな。歌詞にあるように、録音チェックのためにマットレスを積み上げたりしてさ。3週間と3日で、全部の曲作りとレコーディングを仕上げた。
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グローヴァー:クロードがモントルーで場所を探すのを手伝ってくれた。あんな眠ったような街で、バンドが午前3時に騒音をまき散らせる場所を見つけるのは大変だった。グランド・ホテルの1階の廊下ががうってつけだったが、衝立を幾つか用意しなきゃならなかった。
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ギラン:いつもどこかで地震、災害、嵐、衝突が起きてる。そういうのも曲になる。建物に火を放った奴がいれば、それもだ。あんな曲を作ったのは初めてだった。早くおさらばしたいのに、曲が足りなかったんで、やけになってたんだ。
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グローヴァー:「Smoke ...」は最後に作った曲だ。クロードが見つけてくれた最初の場所で、バッキングのトラックを録音した。あのタイトルは、火事の何日か後で、いきなり頭に浮かんできたんだ。朝起きたら、「Smoke on the Water」って。それをギランに言ったら、「ドラッグの歌みたいだな」。ドラッグを歌にするつもりはない。俺たちはアルコール漬けなだけだから。
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みんなでバッキング・トラックを聴いてたら、誰かが「俺たちに起きたことをそのまま歌にするのはどうだ?」って言った。なので、俺が「Smoke on the Water」って言ったら、「いいじゃないか」。それで、1行1行、作ってった。文語調でもあるし、口語調でもある。それがマジックだったんじゃないかな。あんな変わったストーリーが、こんなに受け入れられるなんて、びっくりだよ。
このへんは超有名な話。ちなみに、冒頭の「どたばた喜劇」の原文は「comedy of errors」で、シェークスピアの喜劇「間違い続き」の原題。イギリスじゃ誰でも知ってる基本常識ってことなんだろうな。次回は「Made in Japan」。
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