ジェフ・ベック、キース・ムーンを語る (10/17)
『キースがパブに着いたら、誰もが、いつもと何も変わらないみたいに、「こんちは、キース」』
キース・ムーンの伝記「Dear Boy: the Life of Keith Moon」の著者が、原稿の元になったインタビューを幾つかウェブに掲げてて、その一つ。1996年とのこと。
→ Tony Fletcher's iJamming! | Jeff Beck on Keith Moon
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パブに向かいながら、思った。この女は何者なんだ。キースとどんな関係なんだ。キースのことを深く愛してるようだが、一方で、ある意味、子守みたいな役割でもある。俺はここにいることで、二人の関係を壊しちまってるんだ。なんでキースの家に招かれたのか、理由が判らなくて、俺は指折り数え始めた。助けが欲しかったのか? 俺が必要だったのか? スピークイージーの手洗いじゃ酔った勢いで言っただけなのか? それとも、これは俺自身が何者なのかを深く探求する旅なのか? そうしてる内に、パブに着いた。
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皆を驚かせようって感じでキースがパブに着いたら、誰もが、いつもと何も変わらないみたいに、「こんちは、キース」。実際、(そうした気違い沙汰は) 毎度のことだったんだ。奴はパブの客たち、山高帽の一団だったな、みんなに挨拶してた。奴はパブの馴染みらしく、他の客は俺を、キースの縄張りに踏み込んでくるとは何奴、ってみたいにじろじろ見てた。
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そうして何杯か飲んでたら、「車を運転できるか」って聞いてくる。コーニック (Rolls-Royce Cornicheのこと) を手に入れたばかりで、それのことだ。奴は「俺は (飲みすぎで) 運転しないほうがいい」って言う。俺はそんなには飲んでなかったが、とても運転する気分じゃなかった。だが、びっくりするような車だった。例えば、キーを回してもエンジン音が全く判らない。結局、俺の運転でステインズ (テムズ川沿いの町) まで行ってみることになった。キースはリアシートで女とキスしたり踊ったりしてて、俺はキースのおかかえ運転手かよって。今じゃもっとダメになってるけどな。
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