イアン・アンダーソン、「Thick as a Brick 2」を語る (6/6)
ジェスロ・タルのリーダーでこないだ来日したイアン・アンダーソンが、昨年リリースした「Thick as a Brick 2」について、なぜジェスロ・タル名義じゃないのかとか、色々と語っている。「Classic Rock Revisited」サイトの2012年3月頃の記事より。
→ Classic Rock Revisited - Thick as a Brick But Sly as a Fox: an Interview with Ian Anderson
過去の最大傑作の一つから繋がるアルバムを作れそうだと思ったのは、いつ頃ですか。
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リハーサルの2日めか3日めには、もうすごいプレッシャーになってた。一方で、うまく行きそうな確信が持てるようになった。それまでは、俺自身の、ところどころはギタリストが加わってくれてたけど、ざっくりしたデモしかなかったのが、リハーサルを重ねながら、ライブでも演奏できるように改良してったんだ。
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2日めには、これは大丈夫だって思えるようになった。5日めか6日めには、バンドの誰もが、リハーサル期間の最後にはアルバムを完成させられるって確信を持てた。興奮したね。とにかく何か成果が出せそうか、十分に良いものになりそうか、何ヶ月も自信がなかったんだ。歌詞や曲調やメロディには自信を持ってたがね。
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自分自身の能力もバンド仲間の能力も、信頼しないといけない。ツアーに出てこれをライブでやるつもりだってのは、遅くなるまで言わなかった。「Thick as a Brick」全曲をライブでやるってのは言ったが、続編もやることまでは言えなかった。作れるかどうか、判らなかったからだ。去年 (2011年) 12月の半ばになっても、まだ、もがき苦しんでるかも知れなかった。打ち切らざるをえなくなるかも知れなかった。良いものが出来そうになったんで、だから、計画したんだよ。
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物事が計画どおりに行くことなんか、ほとんどない。スタジオでやってても、物事はどんどん変になっていく。「A Passion Play」を作った時の苦しみは、とても言葉にできない。「Aqualung」も楽なアルバムではなかった。色んな音楽パーツがあって、2回とか3回とかやり直しても、全然うまく行かなかったんだ。まさに苦闘だった。計画どおりに作れたアルバムなんて、記憶にないが、「Songs from the Wood」はうまく行ったほうかも知れない。
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今回のアルバムは、本当に楽だった。何か諦めたり、振り出しに戻ったりする必要もなかった。これまでの人生でも、滅多にないことだ。最初から最後まで、楽しかった。去年の12月以来、何度も聴き直してるけど、未だに「良いものが作れたな」と思ってる。これも滅多にないことだ。過去のどのアルバムでも、その中の2〜3曲は、どうも納得が行かなかったり、半年後には嫌いになったりする。あれは間違いだったって思うことにして、改めて好きになるように努める、そんな曲もあったりする。
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