ジェフ・バーリン、自らのキャリアを語る (その2) (1/4)
「Innerviews」サイトの記事より、2002年、ソロアルバム「In Harmony's Way」を出した当時のインタビュー。色々と面白いことを語っていて、渡辺香津美やトニー・レヴィンなんかの話も出てくる。前に 2012/12/3 から 2012/12/24 まで取り上げた記事とは重ならないところを紹介する。
→ Innerviews: Jeff Berlin - Vision Quest
ソロアルバム「In Harmony's Way」について
-
もうフュージョンはやめた。自分にとって意味のある音楽じゃない。ロックやジャズのほうがいい。そして、ソロではジャズを追求することに決めたんだよ。創造性が最優先ってことでね。同じ曲を、その度に違うスタイルで演奏できる。それが広い意味で自分自身のためでもあるんだ。ジャズは偉大だね。
-
ベーシストは、メロディ的にもリズム的にも縛られてて、自由がない。たいがいのベース・ソロって、先が読めて冒険がないだろ。サックスやギターやピアノやトランペットは自由でいいよな。ソロアルバムでは、ベースギターでそういう自由を目指してるんだ。
-
ベースって楽器で新しい言葉を作り出そうとしている、って言ってもいい。まだ途中だけどね。そういうビジョンを、天性の能力で最初から持ってる人もいる。ジャコ・パストリアスとかゲイリー・バートンとか。今なら私も言える。「ようやくビジョンが持てるようになって、私の演奏は変わったんだ」って。ビジョンを持つこと、それがテクニックより何より大切なんだ。新しいアルバムがこれまでと違うのは、そこだ。以前はそんなことは言えなかった。これまでのアルバムに満足したことは一度もなかった。昔の演奏を聴くと、当時の自分がどんなだったか、思い出して、我ながら苦々しくなる。
-
例えば、ブルフォードでの演奏は、当時としては意味があった、ってことでは気に入ってる。私は若造で、ハイテンションで騒々しいだけの、速弾きベーシスト (1,000-note bass player) だった。そういうのは、他にはスタンリー・クラークとジャコしかいなかった。私はその内じゃたぶん最も知名度が低かったけど、決して無名ではなかった。「超絶技巧」ってブランドになってて、世界中にフォロワーも沢山いた。ベースギターを持ったアスリート、みたいなもんで、目新しかったんだろう。だから、今はもう聴くに耐えないんだ。
この「ただの1,000-note bass playerだった。だから苦々しい」って下りは、インタビューの最後にどんでん返しがあるのだった (笑)。
バーリンはもうすぐ来日して、渡辺香津美 + ヴァージル・ドナティとライブを予定してるわけだけど、どういう路線でやってくれるんだろうね。
直近の記事
- 2013/4/29 - ジェフ・バーリン、自らのキャリアを語る (その2) (1/4)
- 2013/4/11 - イアン・アンダーソン、「Thick as a Brick 2」を語る (1/6)
- 2013/4/9 - トニー・レヴィン、ピーター・ゲイブリエルとロバート・フリップを語る
- 2013/4/8 - スティーヴ・リリーホワイト、XTC「Drums and Wires」を語る (自ら代表作を語る (追加))
- 2013/4/7 - エイドリアン・ブリュー、デイヴィッド・ボウイからの勧誘工作を語る
- 2013/4/1 - ロバート・フリップ、キング・クリムゾン再結成 (?) を語る
- 2013/3/30 - トニー・ヴィスコンティ、デイヴィッド・ボウイのベルリン三部作を語る (1/5)
- 2013/3/23 - ブライアン・イーノ、iOSアプリ「Scape」を語る (1/5)
- 2013/2/16 - ホルガー・シューカイ、電子音楽などを語る
- 2013/2/9 - ラルフ・ヒュッター、クラフトワークの音楽を語る (1/4)
人気の記事
- 2023/8/24 - ロバート・フリップ、イーノやボウイやクリムゾンを語る (4/4)
- 2016/9/16 - ジェフ・ベック、キース・ムーンを語る (1/17)
- 2012/6/25 - トッド・ラングレン、「Todd Rundgren's Johnson」を語る (5/6)
- 2012/1/15 - スティーヴ・ヴァイ、ヴィニー・カリウタを語る