コージー・パウエル、ソロアルバムを語る (自らのキャリアを語る (6/12))
1998年に不慮の事故で亡くなってしまったコージー・パウエルだけれども、これは1996年のインタビューとのこと。Joe Geesinってロック評論家の個人サイトの記事より。かなり貴重。今回はソロアルバム「Over the Top」、「Tilt」の話。
→ Joe Geesin - Freelance Music Journalist > Cozy Powell Interview
ソロアルバムを作ったきっかけは何ですか。
- 金だ。いや、嘘だよ。その頃、レインボーを辞めようとしてたのと、当時のマネージャーが日本と太いパイプを持ってて、日本のファンがそういうアイデアに引き込んでくれたんだ。彼らはドラマーが大好きだ。で、あっちのポリドールが、ソロアルバムを作って欲しいって言ってきた。だったら、やろうじゃないか。こっちじゃアリオラ・レーベルが出してくれたけど、そもそもの話は日本からだ。それで、仲間みんなに手伝ってもらった。ゲイリー・ムーア、ジャック・ブルース、ドン・エイリーとかね。本当に楽しかったよ。そんなに金もかからなかったし。その売上げで、俺はフェラーリを買った。大した報奨金になったわけだ。
その頃の他のプロジェクトとは、ずいぶん違ってましたよね。
- ただヘヴィ・ロックをやるつもりはなかった。「Over the Top」じゃ、俺がどれだけのことが出来るか、見せたかったんだ。「1812」はクラシックだし、ジャズっぽいのも何曲か、ブルースもある。「The Loner」はジェフ・ベックに捧げた曲だ。この曲はジェフに弾いて欲しかったんだが、ツアーか何かで都合が悪くて、代わりにゲイリー・ムーア、悪くない代役だろ、それとクレム・クレムソンに弾いてもらった。
「Tilt」(ソロの2作め) も素晴らしいミュージシャンが揃ってますよね。ジャック・ブルースとジェフ・ベックの共演とか。
- あのセッションはな、テープ録音のオペレーターが金をけちろうとして、つぎはぎだらけのテープを持ち込んできたんだ。それでテイクを録音してたら、半分くらいのところにちょっとリーダーテープ (録音できない) が混じってた。高い金を出してミュージシャンたちに集まってもらったのに、その日の最後に聞き返したら、そこの数秒間だけ無音になっちまってる。がっかりだ。そいつには、次には新しいテープリールを使わせたよ。
グレアム・ボネットのソロアルバム「Line Up」にも、同じように華麗なミュージシャンが集まってますね (コージー・パウエルも参加している)。
- そうだったかな。ジョン・ロード、フランシス・ロッシ、ミッキー・ムーディ。当時のソロアルバムは、お互い入り混じりながら作ってたんだ。素晴らしかった。残念ながら、今じゃ無理だよな。
前半の話、日本人のインタビュアーが相手だったり日本のメディア向けだったりすると、ちょっとリップサービスかもなって気もしたりするけど、そういうしがらみがないところでこんな言葉が出てくると、やっぱり素直に嬉しい。
後半のテープがどうのこうのは、当時のオープンリールでの録音・編集作業を知らないと、何のことか判らないかも知れない。磁気テープを鋏で切ったり接着テープで繋いだりしながら編集していくので、このオペレーターは新品テープじゃなくて、そういう使い古しを持ち込んだ。で、リールに巻いてある磁気テープには、巻きを保護するために、必ず両端にリーダーっていう磁気なしの短い別テープが付けてあって、それが使い古しのつぎはぎの一部に紛れ込んでたって話。
次回は、MSGなどの話。
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