エイドリアン・ブリュー、「FLUX」を語る (3/5)
再結成記念クリムゾン祭りのいちおう最後。とは言っても、ブリューは再結成組に入ってないので微妙だけれども、(ほぼ) 最新情報として紹介しておきたい。「Something Else!」サイトの2013年6月の記事より。
FLUXの一番最初って、何か「これだ!」みたいな瞬間があったんでしょうか。
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1978年5月28日まで遡る。デイヴィッド・ボウイとのヨーロッパ・ツアーの途中、フランスの港町マルセイユで一日すごしてた。港まで行って、2軒のカフェの間に座ってたら、それぞれドアを開け放って、違うラジオ放送を流してるんだ。つまり、同時に2つの全く違う音楽を聞かされてた。それだけじゃなくて、港の色んな音も聞こえてきてた。ボートの音、波の音、かもめの鳴き声、車の行き交う音、人々の歩く音、話す声、笑う声。日常のあらゆる音を聞きながら、思ったんだ。「なんて音楽的なんだ。日常の音に、音楽が割り込んできて、また日常の音が割り込み返す。その繰り返しだ」。その時だよ、こんなことをやってみたいって思ったのは。
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それ以来、これが私の目標になって、どうすれば実現できるか、何年もアイデアを膨らませてきてた。元々は、二度と同じにならない音楽ってわけではなくて、あらゆる音や音楽がランダムにつながるようなものだった。時間がたつ内に、日々の音って二度と繰り返さないってのが判ってきて、二度と同じにならない音楽ってものにとり憑かれるようになったんだ。
そのアイデアが判るような録音って、これまでに何かありますか。
- 知ってるかどうか、「Op Zop Too Wah」ってアバンギャルドなアルバムがある (1986年リリース)。演奏の途中で、いきなり別のが割り込んできて、さらにまた別のになったり、最初のにちょっと戻ったりする。FLUXは、これを極端にランダムな曲や歌のつながりにしたものだ。リスナーは時には全体を聴くだろうけど、たいていはジグソーパズルのピースみたいに思うだろうな。素晴らしいのは、何度も聴く内に、リスナーが自分でピースを組み合わせていくと、意味のあるものになってくることだ。わくわくするし、すごく楽しいよ。いつも驚かされる。1つが30分なんで、コンテンツの全体量を考えると、聴く度にかなり違ったものになるはずだ。全てのコンテンツを聴くには相当な時間がかかるんで、リスナーが全て聴くかどうかは判らないな。
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