ジェフ・ポーカロ、トトなどを語る (4/5)
1992年に38歳の若さで亡くなったジェフ・ポーカロについて、「DRUM! Magazine」誌の1997年の記事が2012年10月にウェブに掲載されたもの。二部構成になっていて、前半は関係者が本人を偲ぶ言葉が集められている。後半は、本人の生前ほぼ最後のインタビュー。おまけとして、ドラム・キットのセッティングのことが書いてある。
→ DRUM! Magazine | Jeff Porcaro's Last DRUM! Interview
それでも音楽にこだわっているのは?
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これからもずっとそうだよ。老いぼれていくまでずっとね。自分たちはミュージシャンなんだ。自分のプロジェクトだろうが、誰かのセッションだろうが、同じことだ。音楽は楽しいし、マーケットもある。例えばジャズをやりたければ、それで楽しく過ごせるし、ニッチだけれども、少なくともやっていける。商業的には成功とは言えないかも知れないが、音楽的には成功なんだ。
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アーティストって呼ばれる人たちがいる。ラジカルなことを主張して、何だか妙だが格好良くて目新しいことを始めて、注目を浴びる。一方で、ミュージシャンは、例えばディランとかみたいにラジカルじゃない。トトが落ち目だとしたら、それはミュージシャンのバンドだからだ。何か含蓄に富んだことを歌うわけでもないし、人に先駆けて何か目新しい曲をやるわけでもない。この商業音楽の世界で自分たちが生き残りにくいのは、それがもう一つの理由だよ。自分たちが何かを上手く主張できてるとは思わないし、せいぜい80点の出来だ。
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ジミ・ヘンドリックス、スティーリー・ダン、ボブ・ディラン、彼らはみんな、音楽で何かを主張した。自分たちは、気の利いたアレンジ、格好良いプロダクション、ミュージシャンとしてのありかた、そんなのを目指してる。だから、バンドのタイプが違うんだ。このロックンロールな世の中じゃ、居心地が悪い。こんなバンドのことを評論家たちは気に留めないし、私自身もだ。アンサンブルとしては良い線を行ってても、本物じゃないんだ。ただ、座標軸の反対側ってわけじゃない。ダンス向けでもないし、若者向けでもないし、ディスコ向けでもない。ちょうど真ん中にいるんだよ。
うぅむ、ジェフ・ポーカロ、意外っていうととっても失礼だが、そんなふうに考えてたとは。売れ線に迎合もできないし、アーティスト (本物) にもなれないってことか。
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