ギャヴィン・ハリスン、トリプル・ドラムスを語る (4/6)
キング・クリムゾンのモントリオール公演に先立って、「Montreal Gazette」紙に載った2015年9月の記事より。二部構成になっていて、前半がトニー・レヴィン、後半がギャヴィン・ハリスン。前半の紹介はまたいずれ。地元の一般紙にこんなのが載っちゃうんだから、羨ましい。
→ Montreal Gazette | King Crimson's Tony Levin and Gavin Harrison: the Complete Conversation
トニー (レヴィン) によると、バンドの全員が集まる前に、ドラマーだけで集まったそうですが。
- 去年も今年もそうした。これからも、新しくリハーサルが必要な曲は、そうすると思う。一晩に数パートずつ、ドラムスを慎重に組み立てていくんだ。3〜4分の曲でも、3〜4週間はかかる。ステージじゃ楽譜を見るわけにいかないんで、全て頭に入れないといけない。山ほどリハーサルが要る。だから、ドラマーだけで集まるんだ。実際、数年前から我々3人だけで集まって、スタジオで録音し始めてた。マルチトラックでハードディスクに録音して、聴き返しながら、どう改良するか考えていった。どの箇所で誰が頑張って誰が休むか、なんかもね。
カオスの中から形を作り出すのに時間がかかったりしませんでしたか。
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パットとは2008年頃にダブル・ドラムスで組んでたから、普通のドラムスの一部分だけ演奏するみたいなパターンはよく判ってた。ハイハットとスネアだけでバスドラムは叩かないとか、スネアとバスドラムだけでハイハットは叩かないとか。
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ビル (リーフリン) がダブルやトリプルのドラムスの経験があるか、知らなかったけど、すごく音楽的なものを持ってるんで、うまく行くだろうって判った。最初の数日、我々だけでさんざん話し合った。何が好きで、どんな曲がやりたくて、どんな曲はやりたくないか、どんな音が出したくて、どんな音は出したくないか。そうやって、トリプル・ドラムスにアレンジしていくアプローチを共有するようにしたんだ。
これはやらないようにしよう、みたいなのはありましたか。
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いや、制約は何もない。自分で自分に課す制約の他はね。ダブル・バスは使うなとか、チャイナ・シンバルは使うな、みたいなことは誰も言わない。効果的かどうかだけだ。ドラマーが3人もいると、下手すれば、すぐに過剰な音になってしまう。だから、言うなれば、6本の腕と6本の足と1つの頭を持った1人のドラマーになるように心がけたんだ。
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もちろん、何から何まで前もって決めてあるんじゃなくて、ステージでは3人とも即興できる時間がある。フィルのところで、まず私の番、次にビル、そしてパット、最後に、考えてた通りに3人で、なんてのもあるし、私の演奏に他の2人が応えるとか、3人でバトルを繰り広げるとか、そんなふうに、2小節くらいやりたいことをやれる時間があちこちあるし、ある曲のある一部は自分に任されてるなんてのもある。
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