ギャヴィン・ハリスン、トリプル・ドラムスを語る (5/6)
キング・クリムゾンのモントリオール公演に先立って、「Montreal Gazette」紙に載った2015年9月の記事より。二部構成になっていて、前半がトニー・レヴィン、後半がギャヴィン・ハリスン。前半の紹介はまたいずれ。地元の一般紙にこんなのが載っちゃうんだから、羨ましい。
→ Montreal Gazette | King Crimson's Tony Levin and Gavin Harrison: the Complete Conversation
昔の曲をやるって言われて驚いたりしましたか。
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いや、全然。初期の曲をやることになるだろうって思ってたし、実際、最初の1969〜1974年の曲を山ほど掘り起こした。だが、ロバートにいつも言われてたよ。「当時のドラムスを真似しちゃいけない。初めて聞いた曲みたいに演奏してくれ。40年以上も前の演奏なんか気にするな」。それは簡単だった。私自身、キング・クリムゾンのマニアじゃないし、初期のアルバムとか持ってないし、プログレを聴いて育ったわけでもないんで。
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2008年にロバートから、こんな曲をやって欲しいって言われた時、こう答えたんだよ。「正直、アルバムは1枚しか持ってないんだ」。たぶん「Beat」だったかな。「それに、もう30年以上も聴いてないし」。そうしたら、「素晴らしい。気に入った。新しい方向からやれるじゃないか。ドラムスをコピーするんじゃなくて、新曲として演奏して欲しいんだ。バンドの誰かが『新曲を持ってきたぞ』って時みたいにね」。なので、そうしてる。
キング・クリムゾンのマニアじゃないってのが面白いですね。トニーも、あれだけ長くバンドにいながら、自分はエキスパートじゃないなんて言うんですよ。
- そうだろうね。例えば、曲名を言われても、どのアルバムに入ってるかなんて知らないし、聴いたことがないのもある。プログレを聴くようになったのは、ずいぶん後になってからなんだ。
昔の曲が復活してきたのにショックを受けたファンもいるんですが。
- 今のラインナップに呼んでくれた時、最初の電話からロバートはこう言ってた。「3人のドラマーでやる。ステージの前列に並んでもらって、自分たちは後列の高いところに立つ。そして、古い曲を沢山、新しい曲を幾つかやる」。はっきり言って、どんなふうになるのか、予想もつかなかった。新しいアルバムを作ってないから「古いの」って言ってるのかな、くらいに思ってた。2008年のバンドじゃ、昔の曲は「Larks II」や「Red」、せいぜい2〜3曲しかやらなかったしね。エイドリアンがいたから、1980年代や90年代の曲を多くやってた。
何度か話題に出てきてる2008年のキング・クリムゾンは、フリップ + ブリュー + レヴィン + ハリスン + マステロットの布陣。以前にも紹介したシカゴ公演のライブ音源で聴くことができる。
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