グリン・ジョンズ、ザ・フー「Who's Next」を語る (代表作を語る (5/9))
「Uncut」誌の2011年12月の記事がウェブに2014年2月に掲載されたもの。1960年代から活躍してるエンジニア/プロデューサーのグリン・ジョンズが、自分の係わった代表的なアルバムについて語っている。そうそうたるラインナップだ。
→ Uncut | Glyn Johns - Album by Album
ザ・フー「Who's Next」(1971)
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ザ・フーとの関わりは、シェル・タルミー (プロデューサー) の下で、「My Generation」とか初期の作品でどれもエンジニアをやってた頃からだ。「Tommy」はマネージャーのキット・ランバートがプロデュースしたが、「Who's Next」はピートが俺に頼んできたんで、キットは悔しかったんだろうな。だから、俺は「共同プロデューサー」ってしかクレジットしてもらえてない。普通ならギョッとするところだろうけど、俺は気にしなかった。ピートのあの驚異的な作品に、とにかく関わりたかったからだ。
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あれは「Lifehouse」って映画のアイデアから始まったんだ。ピートはとてつもないデモとシナリオを作ってきたが、実際のところ、誰も理解できなかった。ミーティングで、映画はやめてアルバムだけにしようって最初に提案したのは、たぶん俺だ。つらかったよ。ピートのことは他の誰よりも尊敬してる。「天才」って言葉は、手垢まみれだけど、まさにピートのためにある言葉だ。だが、このプロジェクトだけは、それがマイナスに作用してしまったんだ。
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「Won't Get Fooled Again」のレコーディングのことは、決して忘れない。ニューベリーにあるミック・ジャガーのすみか「スターグローブス」(古い城。現在はロッド・スチュワートが所有) の広間でやったんだが、髪が総毛立つ曲なんて、人生で幾つもあるわけじゃない。他には、ザ・キンクスの「All Day and All of the Night」くらいかな。
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ピートはやることがよく判ってた。俺はまだシンセサイザーを使ってなくて、あれは全てピートが家で事前に録音してきたものだ。彼は優れたレコーディング・エンジニアでもあって、全てマルチトラックで録音して持ち込んでくるんだ。驚くべきデモだよ。往々にして、後はただ、デモのシンセサイザーやピアノのパートにクリックを付けて、バンドのメンバーがそれに合わせて演奏すればいいだけだったりする。
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俺の仕事は、他のメンバーが、ピートの要求に応えつつ、俺が必要と思うことを満たしつつ、かつ、自身がちゃんと貢献してるって満足感を得られるようにすることで、これはすごく大変だった。ジョン・エントウィッスルなんか、「Who's Next」には批判的で、もう俺とは仕事したくないって言い出したくらいだ。普通のスタイル、普通のサウンドで弾くようにしむけたからだが、それが必要だったんだ。結局は、また仕事したけどね。
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それはキース・ムーンも同じだ。何曲かは暴力性じゃなくて、代わりに思慮と抑制が必要だった。だが、それは彼本来の叩きかたとは違う。ロジャー・ダルトリーも含めて、皆に全体像をイメージしてもらうのは難しかった。だが、「Who's Next」がバンドの真価を発揮してないとは、誰も言えないだろう。
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