トニー・レヴィン、新生キング・クリムゾンを語る (8/11)
キング・クリムゾンのモントリオール公演に先立って、「Montreal Gazette」紙に載った2015年9月の記事より、二部構成になっている前半。なお、後半のギャヴィン・ハリスンは、2015/12/15 から紹介した。
→ Montreal Gazette | King Crimson's Tony Levin and Gavin Harrison: the Complete Conversation
エイドリアンとのクリムゾン・プロジェクト (Crimson ProjeKCt) (レヴィンのスティック・メンとブリューのトリオが合体したバンドで、やはりクリムゾンの過去の曲を演奏する) はどうなるんでしょうか。
- 本家のキング・クリムゾンが復活したので、もうやらないと思う。ロバートが新しいラインナップで復活させるって決めた時、クリムゾン・プロジェクトは新しいツアーを始めてたが、もう場違いな気がしたんだ。クリムゾン・プロジェクトは気に入ってるが、そういうバンドが同時に2つあるのは良くない。クリムゾン・プロジェクトがこの先どうなるかは判らない。もっとも、キング・クリムゾンもこの先どうなるかは判らない。
それを、首を左右に振り壁を叩きながらでなく、微笑みながら言えるってのはいいことですね。長年バンドにいる内に、そういう心境になったんですか。
-
長年バンドにいるのは確かだが、同時にずぅーっとミュージシャンもやってきてる。地球の温暖化が始まる前からね。音楽「産業」って言葉は好きじゃないが、音楽は産業化して、ミュージシャンもただの職業だ。例えば、来年の春にツアーをやるって言ったら、それはツアーをやる可能性が85〜89パーセントくらいあるって意味なんだ。51パーセントでもいい。色んな要因でツアーがキャンセルになるって状況に慣らされざるをえない。面倒だから、そう言わないだけなんだ。
-
なので、どんなバンドにいてどんな今後の話が出てきても、先は判らないって判ってる。チケットの売上げ、レコードの売上げ、メンバーの健康状態、メンバーの係わり合い、色んな要因がある。今のキング・クリムゾンはずいぶんシンプルだよ。メンバー誰もがバンドを最優先にしてる。だが、どのバンドもそうだとは限らない。他のバンドと掛け持ちしてるメンバーがいることだってある。以前の私自身がそうだった。キング・クリムゾンとピーター・ゲイブリエルのバンドを掛け持ちしてた。ピーターのツアー中にロバートから連絡があったら、「ピーター・ゲイブリエルのツアーが終わるまで無理です」って答えるしかない。今はピーターは時たま短いツアーをするだけなんで、キング・クリムゾンを最優先にできる。そして、クリムゾンのツアー中にピーターから連絡があったら、「無理です」って答えるんだ。
多くの人には「それ誰?」だろうけど、 柳瀬尚紀まで亡くなってしまったよ。ロックとは関係ないけど、本当に残念。
関連の記事
- 2013/4/9 - トニー・レヴィン、ピーター・ゲイブリエルとロバート・フリップを語る
人気の記事
- 2016/1/26 - トニー・ヴィスコンティ、デイヴィッド・ボウイを語る
- 2014/9/8 - ロバート・フリップ、「キング・クリムゾンの掟」を語る
- 2012/6/25 - トッド・ラングレン、「Todd Rundgren's Johnson」を語る (5/6)
- 2012/1/15 - スティーヴ・ヴァイ、ヴィニー・カリウタを語る