ジェフ・ベック、キース・ムーンを語る (9/17)
『昼めし時だったと思うが、いきなり金切り声みたいな騒音が聞こえてきた。』
キース・ムーンの伝記「Dear Boy: the Life of Keith Moon」の著者が、原稿の元になったインタビューを幾つかウェブに掲げてて、その一つ。1996年とのこと。
→ Tony Fletcher's iJamming! | Jeff Beck on Keith Moon
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次の日、昼めし時だったと思うが、いきなり金切り声みたいな騒音が聞こえてきた。「俺ってキース・ムーンの家にいるんだよな」、そう思い出すのに10分はかかった。女は起き上がって、窓から外を見て、「いったい何やってんの?」。
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奴は草ぼうぼうの庭のど真ん中で、何だか地面を殴りつけてるみたいに見えた。すると、青い煙が立ちこめて、草が平らになびいて、ホバークラフトが現れた。ずっと放ったらかしにしてたのを、ようやく動かしたんだ。奴は狂ったようにぐるぐる旋回して、庭を飛び回ってた。俺が真っ先に思ったのは、「まさか乗ってみろなんて言ってくるなよな」。
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もちろん奴は言ってきたよ。ホバークラフトには四方それぞれ、それに底面にも浮上するためのプロペラが付いてた。本物だった。ビーチ・ボーイズから貰ったんだそうだ (原注:ムーンがベックにそう言ったようだが、嘘)。すると、奴はまた丸っきりロバート・ニュートンに変身しちまった。ドラムスを叩いてる時はキース・ムーンなのが、ホバークラフトで旋回してる時はロバート・ニュートンかよって。
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そして、ようやく止めると、片目の海賊 (ニュートンの役どころの一つ) よろしく、窓から見てる俺たちに向かって、「乗ってみたいだろ」。俺はホットロッドは好きだが、飛び回るのは御免だ。そうしたら、「俺はこれからパブに行く。一緒に来るなら、乗せてやるよ」。女と俺が飛び乗ったら、奴はぐるぐる回るんで、俺たちは飛び降りた。そして、歩いて行くことにした。奴は俺たちの前を、やかましく煙と土ぼこりを巻き上げながら、全速力で飛び去ってったよ。俺たちはホバークラフトがパブに着陸するのを見ようってんで、走って行った。
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