ピーター・ゲイブリエル、「New Blood」などを語る (5/7)
「The Quietus」っていうアート系サイトの2011年9月の記事より。ちょっと古いが、「New Blood」のリリースに合わせて行われたインタビュー。いつになく色々と語っている。
→ The Quietus | An Invasion of Privacy: Peter Gabriel Interviewed
「Intruder」は、ゲート・リバーブをかけた革新的なドラム・サウンドで、1980年代のポップやロックの音を決定づけましたよね。ドラマーのフィル・コリンズ、エンジニアのヒュー・パジャム、プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトは、音作りにどんな役割を果たしたんですか。
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私も含めた4人の誰に聞くかで、違う答えが返ってくるだろうね。私の見る限りじゃ、ヒューはゲート・リバーブをXTCのアルバムですでに使ってたが、それは効果音で色付けするためだった。私がドラム・マシンで作ったデモは、もっと凝ったアレンジだったのが、ヒューがそれにゲート・リバーブをかけた音を聴いて、異常に興奮したよ。ドラム・サウンドを覆すだろうと思った。「もっとデカい音にして、ど真ん中に置こう。他の音は全て添え物だ」。フィルには、おかずとか何も入れずに、パターンを最初から最後までただ繰り返してくれって頼んだ。それと、シンバルやハイハットの金属音は一切なしでって (原注:コリンズはシンバルがあるはずの虚空を叩こうとするので、そこにもトムを置くことになった)。
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スティーヴは才能に満ち溢れた偉大なプロデューサーだ。あの時に感じたのは、ミュージシャンから最高の演奏を引き出すタイミングを心得てるってことだった。そして、ヒューがあれだけのものを作り出した。それで決まりだ。ただ、あの音を有名にしたのは、「Intruder」じゃない。フィルの「In the Air Tonight」だ。彼は初めてヒューに会ったんだが、このセッションの後、自分のアルバムを全てヒューに任せるようになった。そして、あの曲が世界的な大ヒットになったんだ。
それも過去のことですか。
- フィルとは今でも仲良しだよ。ジェネシス当時、フィルはすごく上手いドラマーで、私はどうしようもないドラマーだった。ちなみに、私はドラマーとして始めたんで、今でもまずドラマーとして考える。楽屋で二人でピアノに向かって曲のアイデアを詰めてる時とかに、「歌ってみないか」って彼を励ましたりしたのを憶えてるよ。お笑いだ。あはは。彼はいつも自分のジャズ・セッションをごっそり抱えてて、ジョン・マーティン (イギリスのシンガー・ソングライター) やブライアン・イーノなんかと仕事してた。今のポップ路線とは大違いだよね。
みんな、ブランドXのことを忘れてますよね (フィル・コリンズがジェネシスと並行して在籍していたハードでテクニカルなフュージョン・バンド。パーシー・ジョーンズとのリズム隊は鉄壁だった)。
- そうそう。
元の「Intruder」が入ってるアルバム「Peter Gabriel (III)」については、スティーヴ・リリーホワイトの側からも、とっても面白くて楽しい仕事だったって言葉がある。
ちなみに、ゲイブリエル在籍当時のジェネシスで、フィル・コリンズがリードボーカルをとった曲が一つだけある。今聴くと、後のポップ界での大活躍を予見させるものはないに等しいな (笑)。
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