トニー・ヴィスコンティ、マーク・ボランを語る (2) (キャリアを語る (12))
プロデューサーのトニー・ヴィスコンティが、聴衆を前にしたインタビューで、これまでのキャリアを振り返って色々と語っている。「Red Bull Music Academy」が2011年にマドリッドで主催したもの。以前に紹介した 「ボウイのベルリン三部作を語る」 とかぶる箇所もあるが、できるだけ重ならないように紹介するつもり。
→ Red Bull Music Academy | Tony Visconti
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まず気づいたのは、アコースティック・ギターとボンゴなのに、やってるのはロックンロールなんだ。後からマークが、それしか買えなかったんで、って教えてくれた。ギターは12ポンド(今のレートで1,600円くらい)だったし、相棒のスティーヴ・ペレグリン・トゥックは、楽器をポートベローの骨董街でゴミ箱から拾ってきてた。こんな彼らと出会えたのは、願ってもないことだった。
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翌日、二人がオフィスまで訪ねてきたので、デニーと私の前で演奏してもらった。「いいじゃないか。気に入った。これはアングラの象徴って形で売り出そうか」、デニーはそう言った。会社のそういう何でも一つづつ取り揃えるみたいな考えかたは、どうも腑に落ちなかった。彼らはただのアングラの象徴なんかには収まらない。マーク・ボランはスターなんだ。誰の目にも明らかだった。
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ティラノサウルス・レックスとして4枚ばかりアルバムを作って、どれもそこそこヒットした。金が入って、「Unicorn」のアルバムからはエレクトリック・ギターも使えるようになって、ロックらしくなってきた。唯一の問題は、バンド名が難しすぎることだった。DJが発音できないんだ。「とりあえずTレックスって呼んどこう」。みんな、そう言う。自分自身、日記をつけてても、ティラノサウルス・レックス (Tyrannosaurus Rex) って書けないんで、Tレックスって書いてたし。バンド名をTレックスに変えて「Ride a White Swan」を出したら、名前を広く知ってもらえて、曲もヒットした。
今日のおまけ、その1: この本、やたら面白かった。ちなみに、著者のトリンスキーは、2012/3/31 の「記者、リッチー・ブラックモアを語る」に出てくる「編集長」。
→ Amazon | トリンスキー、ディ・ペルナ - エレクトリック・ギター革命史
今日のおまけ、その2: ローランド、なかなか良いもんを出してくれたな。基本ただって、太っ腹。なお、アカウント登録が要るので注意。
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