トニー・ヴィスコンティ、T・レックス「Electric Warrior」を語る (キャリアを語る (1))
プロデューサーのトニー・ヴィスコンティが、聴衆を前にしたインタビューで、これまでのキャリアを振り返って色々と語っている。「Red Bull Music Academy」が2011年にマドリッドで主催したもの。以前に紹介した 「ボウイのベルリン三部作を語る」 とかぶる箇所もあるが、できるだけ重ならないように紹介するつもり。
→ Red Bull Music Academy | Tony Visconti
このレコードから始めましょうか。
- アルバムのことかな? 記録のことかな?
どっちでもいいですよ (「Get It On」がかかる)。
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最も有名なレコードの1枚だ。どんなスーパーマーケットでもデパートでも売ってた。
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1971年にロサンゼルスのウォリー・ハイダー・スタジオで録音した (サンフランシスコでは?)。当時、T・レックスはイギリスで2曲ヒットさせてた。私はアメリカの実家にいたんだが、イギリスから上司が「もう3週間もヒットチャートの第1位だ。アルバムが要る」って言ってきた。アルバムの手持ちなんか何もなかったんで、彼らのアメリカ・ツアーに付いて回って、その場その場でレコーディングしていったんだ。マンハッタンで3〜4曲とか、ウォリー・ハイダーで2曲とか。
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「Get It On」は、(レコーディングの) 前の晩に、泊まってたホテルで初めて聞いた。マーク (ボラン) が作ってきて、ドラマー (ミッキー・フィンのことか?) に聴かせたんだ。次の日、フランク・ザッパのバンドから来てたバック・コーラス、フロ・アンド・エディの家に、みんなで行った。バンドはプールの脇で演奏したんだよ。あんなにロックしたことはなかったな。そうして、夜はウォリー・ハイダー・スタジオでバッキング・トラックを録音した。フロ・アンド・エディもバック・コーラスを付けた。
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ストリングス、サックス、ピアノは、バンドがロンドンに戻ってから、トライデント・スタジオで録音した。クイーン、バッキンガムに住んでる女王様じゃないよ、やザ・ビートルズなんかも使った由緒あるスタジオだ。ストリングスは譜面には書いてなかったが、前の2曲に入れたらヒットしたんで、げんを担いで、これにも入れることにした。それで、レコーディングの最後の最後に、私はストリングスの皆を集めて、こう言った。「GとAとEを弾いてくれ」。
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この曲は世界をひっくり返した。アメリカでもイギリスでもヨーロッパ中でも、大ヒットした。私自身、初めて意味のある仕事をした気分になったよ。誰をも幸せにして、音楽としても完璧だし、大金も手に入ったしね (笑)。
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