ラルフ・ヒュッター、過去をふり返る (1/3)
ドイツの「Zeit」誌サイト、2017年5月のオンライン記事より。2015年から2017年にかけてのインタビューとのこと。原文はドイツ語で、タイトルの英訳は「And suddenly we were in the electronic garden」。特に後半が面白かったので、頑張って紹介することにした。
→ Zeit Magazin | Kraftwerk: Und plötzlich standen wir im elektronischen Garten
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前に進み続ける。それしかない。自転車と同じだよ。止まると倒れてしまう。短距離のスプリントもいいが、長距離は格別だね。まさに「Fahr'n, fahr'n, fahr'n auf der Autobahn」(「Autobahn」の歌詞) だ。
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(1960年代のデュッセルドルフは) 中産階級の街で、そういう中で自分は育った。自分だけを頼りに、自分で自分のサウンド、世界に共鳴するサウンドを探し出してきた。フローリアンと私は、同じ目標を共有して、同じ道の上にいた。フォルクスヴァーゲンのビートルに一緒に乗って、高速道路を走るみたいにね。それがクリング・クラング・スタジオにつながっていった。
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最初に手に入れたシンセサイザーは、単音 (モノフォニック) なのに、自分の車と同じくらいの値段だった。「Autobahn」のアルバムのジャケットに載ってるビートルだ。その代金、5,500マルクの請求書は、まだ持ってるよ。ハンブルグのスタジオ・ファンクって店で買った。ドイツでは、当時、そこでしか売ってなかったんだ。
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1968年っていう、やりたいことが自由にやれる時代に始められたのは、運が良かったと思う。誰にも何も言われずに、5時間も演奏できたりした。ルール地方 (デュッセルドルフ隣の工業地帯)、レバークーゼン、デュッセルドルフ、ケルンとか、車で移動しては、ジャズ・バーや美術館やギャラリーなんかで演奏した。世界ツアーなんて、夢にも思わなかったな。
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そうしてたら、メンヒェングラートバッハ (デュッセルドルフ近くの街) の美術館のディレクターだったヨハネス・クラダース (有名なキュレーターらしい) が、彼は私と同じクレフェルト (やはり近くの街) の出身なんだが、「ヨーゼフ・ボイス (ドイツの現代美術の大家) の展覧会をやるので、土曜のオープニングに来てもらえないか」って持ちかけてきた。願ってもないことだった。
ちなみに、割愛した前半はデトロイトの話。
ドイツ語はほんの少し読めなくはないけど、今回はGoogle翻訳にそうとうお世話になった。独→英は近い言語なんで、独→日や英→日より、かなりまともだろうと思う。有難い。
ヒュッターは10年くらい前までは、インタビューを受けては、「次のアルバムは?」「完成したらね」なんて問答を繰り返してたけど、近頃はもうほとんど受け付けないようだ。活字になってるのは、他には「Rolling Stone」誌サイトの 2015年の記事、「The Guardian」誌サイトの 2017年の記事 (これはかなり断片的) くらいしか見つけられない。
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