アル・ディ・メオラ、クラウス・シュルツェに反論する
ツトム・ヤマシタ (海外では Stomu Yamashta の名で活動してた) の「Go」(1976年) は、スティーヴ・ウィンウッド、マイケル・シュリーヴ、クラウス・シュルツェ、アル・ディ・メオラって、ジャンルも出身もてんでんばらばらな錚々たる面々をまとめ上げたプロジェクトで、どうやって集めたんだろってのが昔から気になってた。これはファン有志が、それぞれのインタビューから抜粋して作った記事より。
→ The Music Aficionado | Stomu Yamashta's Go
(原注) アル・ディ・メオラも、シュリーヴやウィンウッドと同じように、高名なバンド (リターン・トゥ・フォーエヴァー) を脱退してソロ活動への過渡期にあった。「Go」へはセッション・ミュージシャン的な参加だった。数年後の別のインタビューで、こんなことを語っている (訳注: 元記事では、反論に見えるような構成になっている)。
- メロディを奏でて空間を醸し出す能力と、複雑な音楽を演奏するのに必要なテクニックの両方が要る。それによって、より様々な音楽が演奏できるようになり、より完成されたミュージシャンになっていくんだ。「1つの音符は100の音符に勝る」なんて言うギタリストがいたりするが、たわ言に過ぎない。とんだお笑いだ。同じことをフラメンコ奏者やクラシック奏者に言ってみるがいい。自分ができないことを、できなくていいって正当化して、そんなものは要らないって攻撃して、自分を守ろうとしているだけだ。間違いない。
クラウス・シュルツェ vs. アル・ディ・メオラ、どっちも一理ありそうに思うんだけど。かたやタンジェリン・ドリームの初期メンバーでエレクトロニカ、トランス、アンビエントの大御所、かたやジャズ / フュージョン界のトップ超絶技巧ギタリストの一人 (ヴァイが神と崇めてたりする)。普通なら接点なんかありえないだろうし、リスナー側も、どっちも聞くなんて人はそうはいないだろう。ジャンルが違う。つきつめれば、音楽ってものにどんな角度から向き合うかの違いってことなのかも知れない。
なぜか思い出したのがこの本で、めちゃくちゃ面白い。第一著者はプリンスのエンジニアから始まって、プロデューサーとして独立した後、認知神経科学者に転身して現在バークリー音楽大学教授って人。
音楽をメロディ・歌詞・リズム・音色はもとより、本物らしさ・リアリズム・斬新さとかまで含めて、それぞれのミュージシャンはどこにこだわるのか、それぞれのリスナーはどこにツボるのかを扱った本。学術性もあって、読み応えがある。色んなエピソードもてんこ盛りで、プリンスの素顔なんかも垣間みえたりするし。
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