ラルフ・ヒュッター、クラフトワークの近況などを語る (2/2)
ニューヨーク近代美術館 (The Museum of Modern Art, MoMA) で8日間の日替わりコンサート「Retrospective 1 2 3 4 5 6 7 8」をやった直後のインタビューで、「New York Times」紙サイトの2012年4月の記事より。
→ NYTimes.com - Talking to Ralf Huetter of Kraftwerk
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今回、美術館で公演したことで、円環がつながった。1960年代の後半、フローリアン・シュナイダーと最初に始めた頃、よくデュッセルドルフのギャラリーや美術館で演奏していたからだ。
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我々は小さな町、何もないところ、文化の奥地で、ゼロから始めた。音楽を再発見していかなければならなかった。ドイツにはクラシック音楽の長い伝統があるが、それは書物の中にあるだけで、大学などで教え学ぶものだった。考古学みたいなものかも知れない。つまり、自分の音楽がやりたい、自分の音はどこにある?、そう思ったとする。すると、ショックを受ける。何の言語もない。日常に何の音楽もない。だから、次のステップとして、じゃ、自分たちで音楽を作り始めようじゃないか、そういうことだ。
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クラフトワークは1974年の「Autobahn」から、繰り返し、ルーティン、ダイナミックスに基づく音楽を目指すことにした。「alltag」というドイツ語は「日々のルーティン」と「宇宙における一日」の両方の意味がある。我々はその「alltag」、つまり日常生活の社会的意味に興味があるんだ。
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当時、我々は未来に幻想を抱いていたのかも知れない。様々なアイデアを持っていたが、それを実現するにはずいぶん時間がかかった。そのためのテクノロジーが発展してくれたのは、本当に幸運だった。
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今はクラフトワークの新しいアルバムを制作している。リリースは「近い内に」だ。
ちなみに、「Autobahn」に先立つアルバムについては、こんなことを語っている。「Pitchfork」サイトの2009年11月の記事より。
→ Pitchfork - Interviews: Kraftwerk
初期のアルバムのリイシューはありえますか?
- 時間がないんだよ。CDの音質が最悪でブートレッグ並みだ。Kling Klangのアーカイブから、古いテープを修復したりアートワークを発掘しないといけない。近い内に時間ができたら、それを続けたいと思ってる。あれは言わば、「Man-Machine」のアイデアが出てくる以前、「先Autobahn時代」の作品なんだ。
初期のアルバムは無かったふりをしようとしているという誤解があるようですが。
- そんなことはない。どう言えばいいかな。絵画に「何とかの時代」があるように (例えばピカソの「青の時代」などのことを言っている。普通は「period」だが原文では「phase」)、「様々な初期の時代」があって、そして「Autobahn」が来て、今は「クラフトワーク時代」なんだ。
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