ラルフ・ヒュッター、「Radio-Activity」を語る (クラフトワークのアルバムを語る (5/10))
時たま思い出したように取り上げてるクラフトワークだけど、これはアルバムごとにラルフ・ヒュッターが解説を加えている記事。「Uncut」誌の2009年10月の記事が去年の「Retrospective」ツアーに向けてウェブにアップロードされたものなので、その時に紹介すればよかったかも。全8枚。
→ Uncut | Kraftwerk - Album by Album
「Radio-Activity」(1975)
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恐怖と美。これはサイエンス・フィクションのようなアルバムだ。コンセプトは、ラジオ放送の目に見えない侵略にある。放射能 (radioactivity) なんかより、もっと危険かも知れない。全て電子音で、これまで以上に歌や喋りを声の交響曲みたいに入れて、テープを切り貼りして作っていった。
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これには英語とドイツ語、2つのバージョンがある。「Autobahn」は1つだけだった。別に主義主張があったわけではない。両方の歌詞が頭に浮かんできただけのことだ。「Radioactivity, is in the air for you and me...」ってね。そこでアイデアが沸いてきて、次のアルバムを作ろうってなった時に、映画のように、全て2つの言語で作ることにしたんだ。
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クラフトワークと映画のコラボレーションの話がいつも出てくるが、実現したためしがない。例外はドイツの映画監督、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーだが、すでにある曲を違う解釈で使ってくれただけだ。「Radio-Activity」は彼のお気に入りで、「Russian Roulette」(「Chinesisches Roulette」の間違いか?) と「Berlin Alexanderplatz」の映画で使ってくれてる。
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アートワークを作っていた時、ポスターを巻いて持ち歩いていたら、近くの住人に「武器を持ってる奴らがいる」って通報された。そういう時代だったんだ (ドイツ赤軍が要人暗殺を繰り返していた)。デュッセルドルフは検問が厳しくて、夜遅く戻ってくると、検問で止められる。許可証を見せないといけなかった。我々はクラブに入りびたって、夜の生活をしていたからね。アウトバーンで止められるんだ。警察はスタジオにも来たよ。怪しげなノイズを出してたからだろう。ドアをノックなんかしない。いきなり銃を構えながら、「武器はどこだっ」。
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