トニー・ヴィスコンティ、ディヴィッド・ボウイ「Heroes」を語る (2) (キャリアを語る (7))
プロデューサーのトニー・ヴィスコンティが、聴衆を前にしたインタビューで、これまでのキャリアを振り返って色々と語っている。「Red Bull Music Academy」が2011年にマドリッドで主催したもの。以前に紹介した 「ボウイのベルリン三部作を語る」 とかぶる箇所もあるが、できるだけ重ならないように紹介するつもり。
→ Red Bull Music Academy | Tony Visconti
では、そのボーカルを聴いてみましょうか。
- 「Heroes」のことかな。
はい。
-
一つだけ言わせてもらえるかな。ハンザ・スタジオでレコーディングしたんだが、オーケストラが入るくらい大きい。デイヴィッドがその巨大な広間に立って朗々と歌うと、壁や天井やあらゆるところに反響する。私はマイクを、まず2本セッティングした。1つは彼のすぐ前にノイマン (Neumann) U47を、1つは5mくらい離してノイマン (TLM) 67 だったかな。さらにもう1つ、ホールのずっと遠くにコンデンサー型を置いた。だけど、1トラックしか使えないんで、別々のトラックに録ることができない。なので、こんなふうにしたんだ。2本めのマイクにノイズゲートをかませて、3本めのマイクにも別のゲートをかませる。彼が低い声で歌うと、2本めと3本めには入らなくて、残響は聞こえない。大きな声で歌うと2本めのマイクにも入るようになるし、叫ぶと3本とも入って部屋の残響がよく判るようになる。そんなふうに、ディヴィッドは自分のやることをやって、私には私のやることをやらせてくれた。これがその結果だ。
-
もう一つある。バックコーラスが聴こえるだろう。2人だけでやった。1人はイギリスの発音で、もう1人はブルックリン (アメリカのニューヨーク市の一部) の発音だ。判るよね。私はブルックリン生まれだから。
(ここで「Heroes」がかかって、拍手が起きる)
- 盛り上がるよね。こういう仕事をすると、「生きててよかった!」って実感するんだ (笑)。
関係ないけど、こないだようやく「ボヘミアン・ラブソディ」の映画を観た。面白かった。ディヴィッド・ボウイ役の人物が顔以外だけ出演してたり、ブライアン・メイ本人が一瞬だけ登場してた (ような気がする) のはご愛嬌かな。Blu-rayが2月12日に出るそうで、そうしたら確認しないとな。
→ Amazon | Bohemian Rhapsody (Blu-ray)
映画のヒットのおかげか、2012/2/14 に紹介したブライアン・メイとスティーヴ・ヴァイの記事も、アクセス数が急上昇。有難い。
「ボヘミアン・ラブソディ」と来たら、やはり、NHK教育テレビ (今のEテレ) が作った「犬のおまわりさん」を取り上げないわけにはいかない (笑)。一部では人気なんで、とっくにご存知のかたも多いだろうけど。
→ YouTube | 犬のおまわりさん with QUEEN
2013/4/9 に紹介したキング・クリムゾンのパロディといい、NHK、やる時はやってくれるじゃないか。ちなみに、今のEテレで一推しは、ロックじゃないけど、「びじゅチューン!」だったりする (笑)。
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