トニー・アイオミ、エドワード・ヴァン・ヘイレンと語る (4/12)
「Guitar World」誌サイトの2013年9月の記事より。元は同誌の2010年、発刊30周年記念の特別企画だそうな。面白い取り合わせだが、予定調和みたいなところも。
ヴァン・ヘイレンのバンド名は、元々「Rat Salad」(ブラック・サバスの曲名) にしたかったそうですが。
- エディ:そうなんだ。ブラック・サバスの曲はほとんど全て演奏してた。「Into the Void」、「Paranoid」、「Lord of This World」とか、どの曲も俺がリード・ボーカルで歌ってた。1978年にブラック・サバスとツアーした時、心底ふるえ上がったよ。忘れようもない変な話を一つ聞かせようか。トニーに向かって、「Master of Reality」のB面の2曲めなんですけど、って話し始めたら、俺を見て「何の話だ?」って言うんだ。ブラック・サバスはとっくに何枚もアルバムを出してたのに、こっちは1枚しか持ってなくて、どの曲も頭に入ってた。何年か後、誰かが全く同じ聞きかたをしてきた。からかわれてんのかと思ったよ。トニーの言葉が真っ先に頭に浮かんできた。その時は、自分たちのアルバムのどこにどの曲が入ってるか、トニーが憶えてないなんて変じゃないかって思ったんだ。だけど、全く同じことが自分にも起きたわけだ。
ブラック・サバスとヴァン・ヘイレンは1978年に8ヶ月一緒にツアーしましたが、互いに影響がありましたか。
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エディ:トニーは「マスター・オブ・リフ」なんだ。大好きだ。別にオジーのボーカルをけなしてるわけじゃない。けど、「Into the Void」を聞いてみろよ。あのリフは、もう極めつけだ。サーフィン・ミュージックやジャズなんか超越してる。それまでに聞いた全てを超越してた。クソみたいにヘヴィだ。(ベートーベンの「運命」の出だしを歌って) こんなだよ。メインのリフは6E弦をかき鳴らしてる。脳天を殴られたみたいだろ。
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トニー:彼らを聴いた最初の瞬間から、こいつらは特別だってすぐに判った。エディの弾きかたは、それまでと全く違う。それで、何百万回も真似されてきてるだろ。おまけに、曲もすごい。ライブの後でしょっちゅう、俺の部屋で、ベッドに入るまで10時間も、ギターのことをダベり合ってたな。
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エディ:結局、ベッドに入らないこともあったし (笑)。
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トニー:あはは、そうだな (笑)。あのツアーは本当に楽しかった。仲良くなったギタリストは、あとはブライアン・メイだけだが、一緒にツアーしたことはなかった。
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エディ:今朝、マット・ブラック (エディ専属のギター・テクニシャン) に言ったばかりだよ。これまでに出会った全ての人物、セレブもロック・スターもひっくるめて、その中で誰よりもこの人が好きなんだ。優しいし、謙虚だし、地に足がついてるし、まともだし、何のてらいも無いし。この人が成し遂げたことを見てみろよ。世間には、敬意は払うけれども尊敬はしてないって相手は何人もいる。奴らに会っても、もういいよ、人してどれだけなんだ、そんな気分になる。どいつもこいつも勿体ぶったアホなだけだ。偉そうな顔しやがって。トニーは、あれからこんなに長い年月がたった今でも、兄貴なんだ。
1978年っていうと、トニー・アイオミ30歳、エディ・ヴァン・ヘイレン23歳。ちょうどいい関係かも。
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